運動療育とは?

2023/12/28

そもそも運動療育とは?

今回は、その疑問に対して、お伝えしたいと思います。

運動療育とは、運動やスポーツを通じて、身体的・精神的・社会的健康を促進するアプローチのことです。発達障害や知的障害、グレーゾーン等の障害をお持ちのお子様への療育の方法の一つとなります。障害を持つお子様にとって、日常生活や学校の授業での運動についていくのは困難さが生じるケースが多々あります。そんな時に運動療育はその困難さを改善、解消していく方法として有効です。

まず運動療育の目的は大きく三つあります。

一つ目に「運動能力の向上」です。障害によって運動能力に遅れのあるお子様に、本人に合った運動プログラムを提供し、「苦手なこと」や「できないこと」を見極め、次のステップへと繋げていきます。

二つ目に、「自己肯定感の向上」です。発達障害児やグレーゾーンのお子様は、いままでの失敗の経験からチャレンジすることに苦手意識を抱えている場合もあります。しかし運動療育は「できた」が明確であるため、成功体験を実感しやすく、着実に自信に繋がります。そして新たなことにチャレンジする意欲が育まれます。

三つ目に「感覚統合」です。感覚統合とは、複数の感覚を整理したり、まとめたりする脳の機能のことです。発達障害児やグレーゾーンのお子様の中には、この感覚統合を苦手とされる方が多く存在します。運動療育を取り入れることで身体に様々な刺激を受けて、多くの情報を整理しながら運動プログラムを行っていきます。この刺激によって必要な情報を選択したり、また不要な情報を排除したりと、感覚を統合する練習ができます。

次に、運動療育の種類としては、以下のものがあります。

・粗大運動

「座る」「立つ」「歩く」「走る」といった身体を大きく使う、日常生活を送る上で必要となる動作のことを指します。粗大運動は自然と獲得していくものであると同時に、外部からの働きかけや刺激が必要となる場合もあります。また、この粗大運動の発達に遅れが見られる場合は、何らかの障害がある可能性もあると言われています。この粗大運動は、日常の生活に関連しているため、日頃の生活の動作からも発達を促していくことができます。運動療育では平均台やトランポリン、バランスボール等を使用して、感覚刺激を全身で受けてそれを適切に処理していくことを促進します。

・コーディネーショントレーニング

神経系に視点を置いたトレーニングのことを指します。「動きやすい身体を作る」、「自分の身体を思い通りに動かせるようになる」ことを目的として行います。様々なスポーツの「型」や「フォーム」を短時間で習得することを可能にします。また、脳から発されている「身体を動かす指示」を基に、バランスを取ったり、複数の動きを同時に行ったりする時に、7つの能力を組み合わせて行っています。その7つの能力は「リズム能力」・「バランス能力」・「変換能力」・「反応能力」・「連結能力」・「定位能力」・「識別能力」です。これらを総合的に育んでいくことが身体と心、脳を発達させるために欠かせないものとなっています。

・微細運動

手や指先を使った繊細な動作のことを指します。文字や絵を書くことや、ビーズ遊び等もこの微細運動にあたります。細やかなレベルで目と手の協応運動を促進させることが大切になります。また、力加減を学んだり、手指の技巧性を高めたりするのに非常に効果的です。微細運動も日頃の生活から発達を促進させることが可能です。

このような粗大運動やコーディネーショントレーニングを取り入れながら、個々の目標を達成するために必要な運動療育を行っていくことで、現状の課題を解決したり、新たなステップへと成長することに繋がります。運動療育を行うことで、単純に「楽しい」ということ以外に、多くのメリットが期待できます。

マリリンスポーツ塾ではこの運動療育を集団指導ではなく、個別指導で行っております。それぞれのレベルやその日の様子に合わせた運動療育を行い、「できた!」を積み上げていけるように工夫してひとりひとりの運動療育を行っております。その結果として自己肯定感を育み、多くのことにチャレンジできるお子さんに育つように支援をしております。短期間での運動能力の向上だけを目標としているのではなく、大人になってからも役立つ素質の育成を意識して運動療育を行っております。